日本経済新聞広告 朝刊/全国版 15段
Overview 概要新聞から、失礼します。
2021年、アドウェイズは設立から20周年を迎えます。また昨年は東証一部に市場変更させていただきました。これはひとえに今までアドウェイズを支えてくださったみなさん、そしてその家族の方のサポートがあったからこそです。
その感謝の気持ちをどうしても伝えたい。という弊社代表取締役社長岡村陽久*の強い思い、そしてコロナ禍の状況を鑑み、新聞広告から失礼し、感謝の気持ちを届けさせていただきました。
*2021年4月現在。以下文中では岡村。
Concept コンセプトそれでも感謝を伝えたい
「アドウェイズを支えてくださったみなさん、特にその家族の方に感謝を伝えたい」という岡村のシンプルな思いから企画はスタートしました。ただ昨今ニュースなどで広告表現の問題、またそれに対する企業の対応が取りざたされています。
「本来、足を運び直接お礼を伝えるのが筋ではないか」「このコロナ禍にそれは逆に迷惑ではないか」「企業としてのメッセージ性や告知もなく感謝だけ伝えるのは広告と言えるのか」「新聞広告ではなく、他に感謝を伝える方法もあるのではないか」そういったさまざまな懸念や反対意見もありました。そしてそれを払拭するための案もまた、さまざまでした。
「それでもどうしてもみなさんに感謝を伝えたい」議論を繰り返し、より深まったのは、みなさんに対する岡村の感謝の気持ちです。もしこの広告が好意的に受け止めらなかったととしても、岡村らしい言葉でシンプルに感謝を伝える。広告の方向性と覚悟が決まりました。
Design [ First draft ]
初稿。「とりあえずデザインがみたい」話の順番は前後しますが、アサインされた際、最初に伝えられたことです。何も決まっていない状態でデザインするのは、本質と意匠がズレるので本来あまりいいフローと言えませんが、デザイナーなら何度か聞いた言葉かも知れません。
Graphic [ Photo ] Ideas
大枠のコンセプトが決まり、ライティングと同時進行でグラフィックを提示しました。
Design [ Second draft ]
二稿。コピー・文章とグラフィックを合わせ、複数のデザインを提出しました。
Design [ Third draft ]
三稿。コピー・文章がほぼ確定したので、それに合うグラフィック(写真)を選びました。カスミソウを推す声が多かったのですが、コピーや文章、岡村のキャラとも合わず、少し儚さが出てしまうため不採用としました。
Assault [ Bolt out of the blue ]
強襲、青天の霹靂。二稿の段階からデザインはこちらで選んで良い。という話だったのですが、岡村の意思を尊重したかったので絞った中から選択してもらおうと、3案デザインを提出しました。その日は岡村の確認時間が取れず、そしてやはりデザインはこちらで選んで良いという話に。
コピー・文章、伝える側、伝えたい方のことを考え「01.ひと」のグラフィックに決めようとした矢先、次期代表取締役社長就任予定*の山田からグラフィックが少し怖く感じるという意見がでます。
*2021年7月から山田翔は代表取締役社長に就任予定です。以下文中では山田。
Facing right and left
右向け左。タイポグラフィのみのデザインは文章量が多くなったためどうしても文字の多さに対する抵抗感が出てしまう。その日は媒体一次審査の原稿提出日だったため、グラフィックは後で入れるということを伝え、コピー・文章のみで審査に出すことにしました。グラフィックは推す声が多かったカスミソウを復活させることにし、山田の了承を得ます。
Complete reversal
大どんでんがえし。デザインの細かい調整を行い、チーム内でもどうにか間に合った。という安堵感が広がるなか、最終確認のため岡村に入稿用の原稿を送ったところ「カスミソウはナシで」と伝えられました。入稿締切2時間前の話です。危惧はしていましたが、モノクロ広告だったことや、儚さのようなものが、気になったのかも知れません。ただ残された時間は僅かです。そこで、当初の案である「ひと」の画像を送ったところ「すごく好き」という返事が返ってきました。
抽象的なひとのグラフィックは家族のメタファーであり、円空の仏像のように原始的で祈りがこめられたイメージです。岡村自身が齢を重ねることで、キャンプ等、自然であったり素朴なものに心が惹かれていること、また岡村が一番感謝を伝えたいという社員のご家族(ご両親)のことを思うと、そのイメージがしっくりきたのは自然なことだと思います。
(※三稿でデザインを本人に確認してもらう時間がとれなかったことも理由の一つです)
ただ、ここでひとつ問題がありました。怖く感じる人がいるかも知れない。ということです。三稿でひとのグラフィックをブラッシュアップしたため、少しソリッドになってしまっていた部分があり、ラフ案のように、ひとに少し丸みをもたせることにしました。
Denouement
大団円。2021年3月1日、無事、日本経済新聞朝刊に新聞広告が掲載されました。実際に手に取っていただいた方々からの反応をみる限りは、好意的な受け止め方をしてくださった方が多かったように思います。
さらにさらに最後にもう一度、アドウェイズを支えてくださったみなさん、心の底から、ほんとうにありがとうございます。